当社は日本で一番赤しそを消費している企業であると自負しておりますが、それもすべて「ゆかり®」があってこそです。今では全国のスーパーはもちろん、コンビニエンスストアでも気軽に購入できるほど、「ゆかり®」はお客様に愛されて、ここまでやってまいりました。
当社はそうしたお客様のご愛顧に応えるべく、安全かつ安定した商品の供給を行う義務があります。
私が赤しその栽培、一次加工を行う自社農園「紫の里」に赴任したのは、2014年のことでした。当時は露地栽培のみで農園を運用していたのですが、そこで私に与えられたミッションこそが、赤しその安定供給への取り組みだったんです。
ですから、はじめは露地栽培で収穫量を増やす方法を考えていて、実は水耕栽培なんて検討していなかったんですよ。
赤しその収穫量を増やす為に、LED照明で苗を育てる電照栽培を始めました。苗がある程度大きくなったら、露地栽培の畑に移すのです。
まだ環境変化に弱い段階の苗を安定して育てることができますし、夜間にも照明を当てることで自然環境より育苗速度も早くなります。これは一石二鳥だぞ、と思いました。
LED照明器具の業者に相談し、育苗のテストをしてもらっていたところ、意外な結果が上がってきました。
育苗どころか、水耕栽培もできそうだということが判明したのです。
赤しその収穫は夏時期のみの年一回が通常ですが、水耕栽培であれば気候に左右されないビニールハウス内で育てますので、一年を通して定量的に、かつ安定した品質の赤しそが収穫可能になります。
約5年間のテストを経て、赤しその水耕栽培は可能であると判断し、私は会社にこれまでの経緯と有用性を説明しました。
設備投資に膨大な費用が掛かることなどから反対意見も出ましたが、当社が赤しそにおけるパイオニア的存在であることの意義や、研究所の皆さんの協力もあり、時間をかけて会社の承諾を得ることができました。
しかし問題はここからで、当社は赤しそについては詳しくても、水耕栽培のノウハウを持っているわけではありません。
土の畑でうまくいっていたことが、水の畑ではうまくいかないこともあって、トライ&エラーの連続でした。
そんな時、心強い味方になってくれたのが研究所の皆さんです。やはり専門家というか、実証結果を丁寧に分析して、どうすればうまくいくかを理論的に検討してくれました。
これが本当にありがたくて、人によっては研究所に居る時間より、こちらの施設に居る時間の方が長いという方もいらっしゃいましたね(笑)
やっとのことで初収穫を迎えたのは、水耕栽培をスタートさせた2020年の6月のことでした。
当社では、「ゆかり®」に使用する赤しそは、香りと色が良いとされる株上部の若い新葉のみと定めています。
そこで、赤しその株上部のみを効率的に刈り取れる専用の収穫機を導入しました。
露地栽培では畑の形に添ってトラクターを操作するため慣れが必要ですが、水耕栽培ではまっすぐに機械をスライドさせていくだけですので、簡単に操作できます。
作業を単純化していくことで、新人もベテランも区別なく業務に携わることができるようになりました。
収穫した赤しそは畑と違い夾雑物(きょうざつぶつ)が混じることも少なく、まだまだ品質・収穫量ともに改良が必要なものの、明るい未来が見えたような気がしました。
当社にとって研究所のスタッフは、会社が発展していく上で様々な可能性を引き出してくれる存在です。
そして赤しそのさらなる魅力を引き出す斬新な発想を生み出せるのは、若い皆さんが運び込んでくれる新しい風ではないかと思います。
これまでの勉学で培ってきたその知識を、ぜひ三島食品で活躍させてみませんか?
新たなヒット商品を生み出したい方、技術開発に尽力したい方、成分分析などが得意な方、商品の品質向上に努めたい方、全てが三島食品が求める人材です。
きっと皆さんが思う以上に、当社は社員のチャレンジを後押ししてくれる会社だと思いますよ。