白いご飯に、ふりかけた瞬間に広がる赤しその良い香り!!このさわやかな食欲をそそる香りは、ゆかり®がみなさんに愛され続けている理由のひとつではないでしょうか?香りへのこだわりから、ついには赤しその新品種を独自開発するに至った物語をご紹介します。
ゆかり®は1970年に発売された、わが社の人気商品。その鮮やかな色と食欲をそそるさわやかな香りが人気の理由です。この香りがふりかけの風味を決め、味さえも左右してしまうので、その品質管理には最大限の注意を払ってきました。しかし、売り上げが伸びるほど原料の確保が課題となってきたのです。赤しそのさわやかな香りのもとは、ペリラアルデヒドという成分です。しかし長年の自然交配で、刺激臭や不快臭のある紫蘇も少なくありません。
そこで近畿、中部や四国の産地を回り、農家の方と一緒に高品質の赤しそ栽培に取り組みましたが、在来種では成果に限界がみえてきました。
「新品種をつくるしかない!!」当時社長であった三島豊の一言で1988年からあらたな挑戦がはじまりました。
香りや色にばらつきのない安定した品質で、しかも栽培する生産者の負担が大きくならない様に従来並みの収穫量が求められました。
当初ランの組織培養技術を使って優良苗の大量増殖を試みましたが、技術的にもコスト的にも難しく断念しました。そこで、従来の育種法を使って、高品質な赤しそ新品種を育成することにしました。
1994年までは、当時和歌山の産地で栽培されていた従来の赤しそから有望な株を選び種を採りました。
そして、1995~98年には選んだ有望株の種をまき栽培したのですが、品質にばらつきがみられました。そこで、厳密な品質調査を行い、目的とする品質を備えた優良な株を選び、その種を採る、という作業を品質のばらつきがなくなるまで繰り返し行ったのです。
花が咲く10月には特に注意が必要でした。優良株だけをより分け、低品質の花と交配しないように袋をかけます。この袋かけが早いと種をつけないし、遅いと他の株と交配してしまう…微妙なタイミングが求められました。
台風がくれば、ビニールハウスに駆けつけ、ビニールを押さえる網をくいに結び直し、通過するまで網を握り続けていました。
1999年に、香りと色を固定化した新品種がついに完成!20年間の苦労が形となった瞬間でした。2000年には、農水省に新品種として出願し登録になりました。この種には「豊な香り」の思いを込めて、『豊香®』(ほうこう)と命名し、商標登録して栽培を開始しました。翌年に、中国遼寧省で種の大量栽培も実施しました。
こうして、安定した品質の原料を確保するプロジェクトは大成功を収めたのです。
現在も、さらなる品質向上を目指し、日々研究を続けています。